春の麦

 

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麦         石原吉郎

いっぽんのその麦をすべて過酷な日のための
その証しとしなさい
植物であるまえに炎であったから
穀物であるまえに勇気であったから
上昇であるまえに決意であったから
そうして何よりも収穫であるまえに祈りであったから
天のほか ついに指すものももたぬ無数の矢を
つがえたままでひきとめている
信じられないほどのしずかな茎を
風が耐える位置で記憶しなさい

こんな詩がありました。

 

後、1カ月程すると、収穫の景色に変わります。

冬を越して育った麦畑のその様子は、

そこだけもう秋が来たかのようです。

この時期に、1度は見ておきたいいつも変わらない風景の1つです。

写真 ・文 キッシー   引用 HIRO